子どもの養育費の決め方

子どもの養育費の決め方

こんなお悩みありませんか?

  • 養育費を請求したいけれど,幾ら請求できるのか知りたい
  • 再婚をして新しく扶養家族ができたので,前妻と約束した養育費の額を減額したいのですが。
  • 相手方が合意した養育費を支払ってくれません。どうしたらいいですか?

子どもの成長に必要な養育費はきちんと請求しましょう

  1. 養育費とは,未成熟子(経済的に自立できていない子)の養育に要する費用のことをいいます。
    具体的には,子の通常の衣食住の費用,教育費及び医療費などがこれにあたります。
    養育費は子を育てるための費用ですから,親権者は相手方から確実に養育費を支払ってもらうことが大切です。
  2. しかし,厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査によれば,養育費の取決めをしている離婚母子家庭は約38%,離婚父子家庭は約18%となっており,養育費を現在も受給している離婚母子家庭は約20%,離婚父子家庭は約4%となっています。
    このように,養育費の受給率が低いのは,養育費を取決める際に,養育費の支払を確保する方策をとっていないからだと思われます。
    養育費を支払うよう,何度催促しても相手方が支払わないので,そのまま諦めてしまうことが多いのです。
  3. したがって,養育費を取り決める際には,養育費の未払いを見越して,養育費の支払を確保する方策をとっておくことが何より大切です。
    ここでいう養育費の支払を確保する方策とは,①相手方の連絡先と勤務先を把握したうえで,②強制執行認諾約款付公正証書をもって養育費の合意をする等の,債務名義を予め取得しておくです。
    かかる方策を採っていれば,未払いが生じた場合に,直ちに相手方の財産に対して強制執行をすることが可能となります。
    養育費の未払いに悩んでいる方は,弁護士にご相談ください。

子どもの養育費について

請求できる養育費とは

  1. 養育費とは
    養育費とは,未成熟子(経済的に自立できていない子)の養育に要する費用のことをいいます。
    具体的には,子の通常の衣食住の費用,教育費及び医療費などがこれにあたります。
    父母は,子に対して,自分の生活と同程度の生活を保持させる義務(生活保持義務)を負っているため,親権者は,非親権者たる親に対して,子供の監護教育のための費用を分担するよう,養育費を請求することができるのです。
  2. 養育費は請求すれば認められる権利です
    重要なことは,同義務は法律上の義務なので,相手方は養育費の支払を拒むことはできないということです。
    なお,自己破産した場合でも、子どもの養育費の負担義務はなくなりません。
  3. 早期にご相談下さい
    このように,養育費は請求すれば認められる権利ですので,養育費のことでお困りの方は,すぐに弁護士に相談して下さい。

養育費の相場

  1. 話し合いで養育費を決める場合
    養育費の金額は,当事者間の話し合いで決まるなら,幾らであっても構いません。
  2. 養育費請求調停(審判)による場合
    (1)話し合いで決まらない場合は,家庭裁判所に養育費請求調停か審判を申立てることになります。
    (2)そして,家庭裁判所では,簡易算定表(東京家庭裁判所ウェブサイト「養育費・婚姻費用算定表」を参照)を元にして養育費の金額を定めることが多いです。
    例えば,養育費を請求する者(権利者)と子2人(いずれも0~14歳)が養育費を支払う者(義務者)と別居,権利者と義務者の給与がそれぞれ200万円,600万円の場合では,簡易算定表によると,6~8万円が養育費となります(「婚姻費用の金額」の項を参照。婚姻費用よりも養育費の方が低いことが分かります)。
    (3)もっとも,常に簡易算定表どおりの結果となるわけではありません。
    例えば,算定表は子が公立学校に通うことが前提で定められているので,子が私立学校に通う場合,養育費を加算するべきではないかが問題となります。
    まず,義務者が私立学校への進学を了解していたり,その収入及び資産の状況等からみて義務者に負担させることが相当と認められる場合には,養育費を加算するべきといえます。
    次に,加算する金額ですが,実際に支払うべき私立学校の授業料等を,権利者と義務者の基礎収入で按分した義務者の金額から,公立学校の学校教育費年額(公立高等学校では33万3844円)を目安にした金額を控除した額とすることが考えられます。
    (4)また,簡易算定表に載っていないケースは別の算定方法で判断されることになります。

養育費の支払い期間

  1. 養育費の終期
    養育費は未成熟子が成人に達するまでとするのが原則です。
    したがって,多くは「20歳に達する日が属する月まで」となります。
    もっとも,大学に進学する場合,卒業するまでは自分で生計を立てられないので,「22歳に達した後に到来する3月末まで」と定めることもあります。
    逆に,就職して収入があれば,要扶養状態にないので,「18歳に達した後に到来する3月末まで」と定めることもあります。
  2. 過去の養育費
    (1)問題となるのは,過去の養育費を請求できるかですが,実務では,過去の養育費の請求は殆ど認められておりません。
    (2)養育費を請求する者(権利者)は,これまで養育費を具体的に請求せずに生活することとができていた以上,権利者が要扶養状態にあったのかの判断には慎重さが求められるべきだからです。
    又,長期間に遡った養育費を一括で請求されるのは,養育費を支払う者(義務者)にとって不意打ちとなり,過当な負担となってしまうからです。
    (3)したがって養育費は,「権利者が請求したとき」,つまり,通常は,「養育費分担調停又は審判の申立時」に生じるとされています。
  3. 養育費はできるだけ早く請求するべきです
    以上のように,過去の養育費の請求は認められず,養育費の支払時期は,通常,養育費分担調停又は審判の申立時からとされているため,権利者はできるだけ早く養育費を請求するべきといえます。

養育費支払期間中の増減はある

  1. 養育費の増額・減額は可能です
    養育費の額が,当事者間の合意,調停,審判等によって定められた後に,事情の変更が生じたときは,調停又は審判により,従前の合意等を変更して,金額を増減させることができます。
  2. 養育費の増額・減額には[事情の変更]が必要です
    (1)養育費の額の増減が認められるには,事情の変更が生じたことが必要です。
    (2)そして,この事情の変更には,取り決めた当時に予測し得なかった相当程度の事情の変更であることが必要です。
    そのため,早く離婚したい当事者が,高額の養育費の支払を合意しながら,直ちに,合意をした養育費は収入に比して高額すぎるから減額して欲しいと養育費の減額を求めても,事情の変更が生じていない以上,減額は認められないことになります。
  3. 大学進学のために養育費を増額することの可否
    (1)18歳まで養育費を支払うと約束をしていたのに対して,後日に,4年制の大学,短大,専門学校等のいわゆる高等教育を希望した場合に,増額請求が認められるか否かは,先の事情の変更が生じたといえるか否かによります。
    (2)具体的には,親の社会的地位,学歴,経済的余力,子の学習意欲,家庭環境等,諸般の事情を考慮して決められることになります。
  4. 再婚したことによる養育費減額の可否
    義務者のリストラ,破産,再婚は,養育費を減額させる事情の変更といえます。義務者が再婚をすると,再婚相手にも扶養義務を負うからです。

養育費の支払いが滞ったら

  1. 養育費の支払いが滞った場合の対処は,そもそも養育費をどのように定めたのかにより異なります。
    つまり,養育費について東風約束を交わしたのか,契約書を交わしたのか,執行受諾文言付公正証書を作成したのか,それとも養育費に関する調停,審判又は裁判で定められたのかによって,その対処は異なるのです。
  2. ここでは,養育費に関する調停,審判又は裁判で定められたにもかかわらず,養育費の支払が滞ることになった場合の対処についてご説明します。
    (1)養育費に関する調停,審判又は裁判で,養育費を取決めたにもかかわらず支払いが滞った場合,とりうる手段としては,①履行勧告,②履行命令,③強制執行の3つが考えられます。
    (2)履行勧告
    ①履行勧告とは,家庭裁判所が,義務を履行するように勧告する制度です。
    電話で申立てることができ,しかも手数料もかからないという簡便な手段ですが,勧告に従わない場合の制裁がないため,心理的な効果を生じさせるにとどまります。
    (3)履行命令
    ②履行命令とは,家庭裁判所が,義務者に対して,相当の期限を定めてその義務を履行するように命じる制度です。
    書面による申立てと手数料(500円ほど)が必要となります。
    履行命令に違反した場合の制裁はありますが,10万円以下の過料に過ぎないので,効果的な手段とはいいがたいところがあります。
    (4)強制執行
    ③強制執行とは,強制的に相手方の財産を差押え,支払いを実行させる法律上の手続です。
    相手方の財産に応じて,不動産執行,債権執行,動産執行が考えられますが,相手方の勤め先が分かっている場合,相手方の給与を差押えるのが有効です。何故なら,給与の2分の1を,未成年者が成人になるまで差し押さえることができるからです。

子どもの養育費の支払を確保しましょう

  1. 養育費に関する相談の多くが養育費の未払いに関するものです。
    したがって,これから養育費を取決める方は,①相手方の連絡先と勤務先を把握したうえで,②強制執行認諾約款付公正証書をもって養育費の合意をする等の,債務名義を予め取得して,養育費の支払を確保する方策を採ることが大切です。
  2. (1)これに対して,既に養育費を取決め,未払い問題に悩んでいる方は,まず,①養育費を口頭で取決めたに過ぎないのであれば,養育費分担調停か,審判を申立てるべきです(それでも支払わないときは④と同じ)。
    (2)次に,②養育費を公正証書以外の書面で取決めたのであれば,裁判外で任意の履行を促し,それでも支払わない場合に,通常の民事訴訟(裁判)を提起して,さらに強制執行手続をとるべきです。
    (3)また,③公正証書にて養育費を取決めたのであれば,強制執行手続によるべきです。
    (4)さらに,④養育費に関する調停,審判又は裁判で,養育費を取決めたにもかかわらず支払いが滞ったのであれば,履行勧告,履行命令,強制執行手続のいずれかによるべきです。
  3. このように,養育費については,これから養育費を取決める段階と実際に未払いが生じた段階の両段階で問題となりますが,それぞれに対応策があります。
    したがって,ひとりであれこれ悩まずに,まずは弁護士にご相談ください。

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弁護士が教える離婚について知っておきたい基礎知識