熟年離婚

こんなお悩みありませんか?

  • 熟年離婚においては,どんな点に注意するべきですか?
  • 年金分割制度の整備で熟年離婚がしやすくなったとはどういう意味ですか?
  • 長年連れ添った相手に慰謝料を請求する必要があるでしょうか?

熟年離婚にお悩みなら石塚総合法律事務所へ

熟年離婚

子どもが成人していない親権争いや養育費の絡む離婚のご相談が多い中,熟年離婚も年々増加していると感じております。
しかし,熟年離婚に注力している法律事務所はごくわずかで,相談に迷う方が多いのではないでしょうか。
千葉県柏市の石塚総合法律事務所は熟年離婚をお考えの方へのサポートに力を入れています。
法的アドバイスをさせていただくことはもちろんのこと,お悩みをよくお聞きいたします。ひとりで悩まずに,まずはお話をお聞かせください。

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熟年離婚とは

  1. 熟年離婚とは,長い年月(20年以上)婚姻生活を過ごしてきた夫婦が離婚をすることをいいます。
    熟年離婚は,2014年には3万6800件を越え,25年前の7割増となっているそうです。
    このように熟年離婚が増加する背景には,年金分割制度が整備されたことにあるのかもしれません。
    つまり,夫が婚姻期間中に納めた,被用者年金(厚生年金)に関する年金保険料の納付実績の一部を妻に分割することで,妻が分割された納付実績に基づいて年金を受給できるようになったことが,妻の経済的自立を可能にし,結果として熟年離婚増加につながったように思われます。
  2. 長く連れ添っていたのに何故今更というのは外野の意見であり,子供が自立したこと,夫の退職金がおりたこと,老後も夫と同じ部屋で生活することに耐えられないこと,夫による長年のモラルハラスメント,親又は義理の両親の介護問題など,当事者にとっては,熟年離婚を考える十分な理由があることと存じます。
  3. 熟年離婚を考える妻にとって,最大の悩みは,離婚をして,その後,本当に生活をすることができるのかということだと思います。
    そのため,熟年離婚においては,退職金等の財産分与,年金分割,慰謝料請求が特に重要になります。
    財産分与,年金分割,慰謝料請求で,後で後悔しないように,熟年離婚を考えられている方は,一度弁護士にご相談下さい。

熟年離婚時の財産分与

財産分与になるもの

  1. 共有財産・実質的共有財産は財産分与対象財産
    財産分与の対象となるのは,夫婦の共有財産(名実ともに夫婦共有財産であるもの)及び実質的共有財産(名義は一方に属するが実質的には婚姻中夫婦の協力によって形成された財産)です。
  2. 具体的には,
    ・現金
    ・不動産(価額は不動産業者の査定書によって評価することが多いです。)
    ・賃借権
    ・預貯金(原則として別居時の残高を分与の対象とします。)
    ・生命保険・学資保険等(原則として別居時の解約返戻金相当額を分与の対象とします。)
    ・損害保険金(人身損害保険金のうち,逸失利益に対応する部分は分与の対象となります。)
    ・株式その他の有価証券
    ・ゴルフ会員権
    ・退職金(後述のとおりとなります。)
    ・過去の婚姻費用(分与の対象となりえます。)
    ・自動車
    ・子の名義で取得した財産(将来の進学等に備えて子の名義でした預貯金,学資保険等は分与の対象となります。)

財産分与にならないもの

  1. 特有財産は財産分与の対象外
    夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)は財産分与の対象とはなりません。
    ・婚姻前の預貯金
    ・婚姻前から持っていた家具架電(嫁入り道具など)
    ・婚姻中に自分の親から相続した財産
    ・夫婦の一方の専用品(装飾品等)(もっとも,宝石は分与の対象となることがあります。)
    ・夫婦の一方又は双方が経営に関与している法人の保有する財産(原則として,当該法人の株式,持分等を分与の対象とします。)
    ・子のお年玉などで貯めた預貯金(子の特有財産として分与の対象とはなりません。)
  2. 債務について
    (1)債務の発生原因等により,財産分与の際に考慮されるか否かが異なります。
    (2)まず,夫婦の一方がギャンブルなどで個人的に負担した債務は考慮されません。
    (3)これに対して,夫婦の一方が夫婦生活に必要な支出等のために負担した債務については,財産分与の際に考慮されます。
    例えば,夫名義の積極財産と債務がある場合に,夫がこの債務を負担することを前提に,積極財産の総額から債務額を控除して,その残額を分与対象財産とするという処理をします。
    もっとも,トータルで債務が積極財産を上回る場合(マイナスになる場合)は,債務を相手方にも負担させるというようなマイナス超過部分の調整はしていません。

退職金の請求する方法

  1. (1)賃金の後払い的性質を有する退職金は,原則として財産分与対象財産になりえます。
    (2)しかし,具体的な事案で財産分与の対象となるのか,なるとしていかなる方法によるべきかは,既に退職金が支払われている場合と退職金が未だ支払われていない場合とで異なります。
  2. 退職金が既に支払われた場合
    (1)まず,既に退職金が支払われている場合ですが,支払われた退職金が現存している場合は財産分与の対象となります。
    (2)これに対して,支払われた退職金が別の財産に変化した場合,既に変化した財産が残っていなければ財産分与の対象となりません。
    (3)そして,退職金が変化した財産が残っていれば,変化後の資産の種類のまま財産分与の対象となります(例えば,退職金を原資に不動産や証券等を購入した場合)。
  3. 退職金が未だ支払われていない場合
    (1)次に,退職金が未だ支払われていない場合ですが,退職金が支給される高度の蓋然性が認められれば,財産分与の対象となると考えられています。
    (2)しかし,退職まで勤務するかどうかもわからず,支給制限事由に該当すれば支給を受けられない上,退職事由のいかんによって手当額にも差異がある等,離婚時において,その存否及び内容が確定しているとはいいがたいような場合には,財産分与の対象とはなりません。
    (3)実務では,定年まであと数年であり,退職金額が判明している場合に,財産分与の対象とする裁判例が多いようです。

退職金の分割金額の計算方法

具体的事案において退職金が財産分与の対象となるとして,分与される退職金をどのように計算するべきでしょうか。

  1. 既に退職金が支払われている場合の計算方法
    既に退職金が支払われている場合ですが,
    退職金額×同居期間÷在職期間×寄与度
    で計算されます。
    なお,寄与度については,その他の夫婦共有財産の分与と同様に原則として2分の1とする実務例が多いです。
    もっとも,夫婦間の具体的事情に応じて,退職金形成への他方配偶者の寄与率が2分の1以下しか認められない場合もあります。
  2. 未だ退職金が支払われていない場合
    (1)退職金が未だ支払われていない場合ですが,①分与の時期を退職金の支給を受けたときにするもの(将来給付)と,②離婚成立時とするもの(現在給付)とがあります。
    (2)将来給付の場合
    ①将来給付の場合には,
    予定退職金額×同居期間÷在職期間×寄与度
    で計算されます。
    将来給付は,定年退職時期が近いときはよいとしても,そうでなければ退職金が将来に消滅してしまう危険があるので,積極的に判断されません。
    (3)現在給付の場合
    次に,②現在給付の場合には,(ア)退職擬制期間基準方式と(イ)中間利息控除方式の2つがあります。
    このうち(ア)の計算方法は,
    別居時(又は離婚時)に自己都合退職したら取得したであろう退職金額(所得税等相当額を控除する例もあります)÷在職期間×同居期間×寄与度
    で計算されます。
    これに対して(イ)の計算方法は,
    定年退職金額×同居期間÷在職期間×寄与度×退職までの年数のライプニッツ係数
    で計算されます。
    実務では,(ア)によるものが多いとされています。
    (ア)は,別居時に自己都合退職したと仮定して,その場合の退職金相当額から婚姻前の労働分を差し引いた額が対象となるという考え方によります。
    (イ)の退職までの年数のライプニッツ係数を乗じているのは,将来受け取る退職金を今受け取ることの利息分を差し引く意味です。

年金分割とは

1 年金分割とは納付実績を分割するという意味です

  1. 年金分割とは,被用者年金(厚生年金)に関する年金保険料の納付実績の一部を,被保険者である配偶者から他方の配偶者に分割し,他方配偶者が分割された納付実績に基づいて年金を受給できるようにする制度のことをいいます。
    離婚の際に,夫の年金を分割をしておけば,65歳になり年金の支給が開始されると,年金保険料を支払っていない元妻も分割された納付実績に基づいて年金の一部が支給されることになります。
  2. よく勘違いされるのですが,年金分割制度は,夫から将来受け取る予定の年金金額の2分の1をもらえる制度ではなく,保険料の納付実績を(最大2分の1)分割してもらう制度ですので注意して下さい。
    そのため,元妻は,自身の資格で,分割後の納付実績に基づいて年金を受給できるようになります。
  3. また,分割できる年金の対象ですが,分割できるのは,被用者年金(厚生年金・共済年金)であって,国民年金,厚生年金基金,国民年金基金等は分割できません。
  4. さらに,分割される納付実績ですが,あくまでも分割されるのは「婚姻後の納付実績」であり,「婚姻前の納付実績」は分割されません。

2 年金分割を請求するにあたって注意すべきこと

  1. 年金分割で注意するべき点は,①年金分割のメリットを享受できるのは,婚姻期間中に相手方が被用者保険(厚生年金)の年金保険料を自分より多く支払っている場合だけということです。
    例えば,元夫が自営業者を営み,共働きで元妻のみが厚生年金の保険料を支払っていた場合,被用者保険の年金保険料を元妻の方が多く支払っていたことになるので,年金分割を元妻が求めることのメリットはありません。
    このケースでは,むしろ,元夫が年金分割を請求するメリットがあることになります。
  2. また,そもそも年金の受給資格要件を有していない場合には,年金分割をしても年金を受給できません。
    例えば,老齢厚生年金の場合,受給資格を得るためには,厚生年金やその他の公的年金の加入期間が25年以上必要ですが,かかる要件を有していない場合は,年金分割を受けても年金を受給できないことになります。

年金分割の種類

  1. 年金分割には,合意分割と3号分割とがあります
    合意分割とは,離婚当事者の合意によって,年金の分割割合を決め,婚姻期間中の納付実績を分割する制度をいいます。
    3号分割とは,離婚当事者の一方が他方の被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者(専業主婦はこれにあたります)であった期間の年金の分割は,当事者の合意や裁判なしに,分割割合を2分の1として行うことができる制度をいいます。
  2. 合意分割
    合意分割を行うには,①平成19年4月1日以降に離婚したこと,②当事者間の協議又は裁判手続で,年金分割の割合(最大2分の1)を定めること,③年金分割の割合に基づいて年金分割を厚生労働大臣等に請求することが必要です。
    なお,合意分割では,年金分割を請求できる者は,国民年金の第1~3号被保険者いずれも含まれます。
  3. 3号分割は,①平成20年4月1日以降に離婚した場合で,②婚姻期間のうち平成20年4月1日以降の期間に第3号被保険者期間がある場合について,③被扶養配偶者が厚生労働大臣等に年金分割を請求することを要件として,④平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間に限り,分割割合を2分の1として,年金分割を行います。
  4. 両者の違い
    両者の主な違いは,合意が必要か否かという点と,分割できる婚姻期間が平成20年4月1日以降に第3号被保険者であった期間に限られるのか否かという点と,対象者が平成20年4月1日以降に第3号被保険者であった者に限られるか否かということにあります。
  5. いずれの分割方法によるべきか
    いずれの分割方法によるべきかはケースバイケースによります。
    例えば,平成元年に婚姻した専業主婦が平成29年に離婚をする場合,合意が不要な点は3号分割の方が楽ですが,3号分割では平成20年3月31日までの納付実績を分割することができないので,婚姻時から離婚時までの納付実績を分割するためには合意分割をするべきということになります。

年金分割の手続き(方法)

  1. 3号分割の手続
    3号分割の手続は,分割してもらう側が,離婚後に必要書類を揃えて年金事務所など(厚生年金の手続きを取り扱う役所・機関)へ行って年金分割を請求をするだけで足ります。
  2. 合意分割の手続
    (1)これに対して,合意分割の手続は以下のようになります。
    ①年金分割のための情報提供請求書を年金事務所に提出する。
    ②年金分割のための情報通知書に定められた按分割合の範囲(最大2分の1)で,当事者間で分割割合を協議し,分割割合を定める。
    ③上記②の協議により分割割合が定まらない場合には,調停・審判・離婚訴訟の附帯処分によって分割割合を定める。
    ④年金事務所など(厚生年金の手続きを取り扱う役所・機関)に対し,②又は③で定めた分割割合で年金分割を請求する。
    (2)④の手続のとき,当事者双方又はその代理人が年金事務所等に赴くときは,年金分割をすること及び分割割合を記載した合意書を年金事務所等の窓口に持参するだけで,年金分割を請求できます(なお,合意書がなくとも,年金事務所等に置いてある書式を用いてその場で当事者が合意書を作成することも可能です)。
    しかし,当事者双方又はその代理人が年金事務所等の窓口に行かない場合で,かつ,裁判手続を経ずに分割割合が定まった場合には,年金分割を行うこと及び分割割合について合意している旨を記載した公正証書,又は,公証人の認証を受けた私署証書を添付することが必要です。
    また,当事者双方又はその代理人が年金事務所等の窓口に行かない場合で,かつ,裁判手続を経て分割割合が定まった場合には,審判・調停調書・判決の謄本等を添付することが必要です。
  3. 年金分割についてわからない場合はご相談下さい
    以上のように,年金分割については,合意分割と3号分割のいずれの方法によるべきかという点と,合意分割の手続をどのように行うのかという点とで,わかりにくいところがありますので,弁護士に依頼された方が安心だと思われます。

慰謝料を請求する方法

1 慰謝料を請求できる場合とは

離婚慰謝料が認められる場合としては,夫が浮気・不貞していた場合やDVをしていた場合等を挙げることができます。
したがって,長年にわたり夫が浮気・不貞をしていたのを我慢してきたという事情や,夫から暴力を振るわれたり暴言を吐かれたりするのを我慢してきたという事情があるのであれば,離婚慰謝料を請求することが考えられます。

2 慰謝料請求は前向きに検討するべき

  1. 皆さんの中には,慰謝料なんてと,慰謝料を請求することについて躊躇われる方もいらっしゃるかもしれません。
  2. しかし,慰謝料請求は,精神的苦痛を慰謝するために法律が認めた制度なのであり,慰謝料を請求することは正当な権利行使であること,また,熟年離婚をした後の生活を考えれば,できるかぎり夫から払ってもらうべき金銭は払ってもらった方がいいことからすると,慰謝料請求については,是非前向きに考えて欲しいと思います。
  3. 注意して欲しいのは,慰謝料請求権はいつまでも行使できるというわけではなく,時効が存在するということです。
    つまり,離婚後に,やはり慰謝料を行使したいと思っても,時効により慰謝料請求することができなくなることがあるのです。

3 慰謝料について気になる方は弁護士にご相談下さい

熟年離婚を考えている方の中で,慰謝料に関して気になる方,又は,お悩みの方は,弁護士に一度ご相談下さい。

弁護士石塚政人は明るく再スタートができるようにサポートします

  1. 長年連れ添ったパートナーと離婚をするのです。
    相当な覚悟が必要であり,離婚後のことを考えれば,不安な気持ちでいっぱいになるのではないでしょうか。
  2. 熟年離婚にはメリットとデメリットがあると思います。
    (1)メリットは当然,別れたいと思った理由を実現できることにあります。
    あなたにとってのそれは,自立して生活するということかもしれませんし,夫の面倒をみながら老後を迎えるのを避けられることかもしれません。
    いずれにしろ,離婚を考えるのに十分な理由でしょうから,それを実現できるというのは何よりのメリットだと思います。
    (2)デメリットは,経済的な不安が生じてしまうということでしょう。
    仕事をしようとしても,年齢の問題もあり,希望通りの職に就けずに結果として経済的に厳しくなることは十分考えられます。
  3. このように,熟年離婚にはメリットとデメリットがありますので,離婚をするか否かは慎重に判断するべきですが,不安な気持ちでいっぱいの状態では,冷静な判断は難しいと思います。
    とりあえず弁護士の意見を聞いてみようかなというお気軽な気持ちで構いません。
    一度当事務所にご相談下さい。
    あなたの味方になり,寄り添いながら解決までサポートいたします。

弁護士が教える離婚について知っておきたい基礎知識