今回は、改正相続法25 遺言書保管法2です。
前回は、遺言書を保管してもらうには、無封の遺言書をもって、遺言者本人が法務局に行かなければならないこと、遺言書はいつでも返還を求めることができるということをお話ししました。
今回は、保管してもらった遺言書を相続人がどのようにして知ることができるのか、についてのお話です。
Q1 お父さんが亡くなりました。お父さんは、生前遺言書を書いたと話していたので、家を探したのですが見つかりません。法務局に遺言書が保管してある場合があると聞いたのですが、法務局にお父さんの遺言書があるかをどうやったら調べることができますか。
A1 法務局に、「遺言書保管事実証明書」の交付を請求することで、遺言書があるか否かを知ることができます。
自筆証書遺言を法務局に保管してもらうと、法務局から「保管を証する書面」が交付されます。ですから、①相続人は、被相続人の家等から「保管を称する書面」を見つけることで、法務局に自筆証書遺言を保管してあることを知ることができます。
また、「保管を証する書面」が見つからないときは、相続人の方から法務局に問い合わせをすることが考えられます。その際、②「遺言書保管事実証明書」の交付を請求することが考えられます。これは、法務局に遺言書が保管されているよ、保管されていないよということを証明する文書です。あくまでも保管しているか否かを明らかにするだけであり、その内容まで知ることはできません。
相続人が内容を確認する場合には、③法務局に「遺言書の閲覧請求」をする必要があります。
そして、「遺言書保管事実証明書」の交付を請求された場合、又、「遺言書の閲覧請求」がなされた場合には、法務局はその他の相続人等に対して、遺言書が保管されているのであれば、「遺言書が保管されている旨を通知する」こととされています(遺言書保管法第9条第5項)。そのため、④相続人は、この法務局からの通知によって、遺言書の存在を知ることもあります。
ひとりの相続人のアクションによって、他の相続人も遺言書があることを知ることができるというわけです。これにより、自筆証書遺言のデメリットであるその存在を知らないで遺産分割協議をしてしまうということを防ぐことができるのです。
Q2 叔父さんが死亡したと聞いたので、叔母さんに、叔父さんの遺言書が法務局にあるかもしれないので、調べてもらったらと提案しました。しかし、叔母さんも高齢なので、何のことがわからないようです。代わりに、甥の私が、遺言書保管証明書の交付を請求することができるでしょうか?
A2 遺言書保管証明書は誰でも請求できますので、甥子さんでも請求できます。しかし、その場合、甥子さんが相続人等になっている遺言書があるか否かであり、叔母さんの相続人等になっている遺言書があるか否かではありません。そのため、叔母さん(妻)が相続人等になっている遺言書があるか否かを明らかにするためには、叔母さん自身が遺言書保管証明書の交付を請求するべきでしょう。
遺言書保管事実証明書の交付は、遺言者が死亡していれば、誰でも求めることができます(遺言書保管法第10条第1条)。
しかし、遺言書保管事実証明書で明らかになるのは、あくまでも、遺言者として特定された者について、自己が相続人、受遺者、遺言執行者等の関係相続人等に該当する遺言書(関係遺言書)が法務局に保管されているか否かです。
設問ですと、甥っ子さんが相続人等となっている遺言書は保管されていないが、叔母さんが相続人等となっている遺言書が保管されている場合、甥っ子さんが遺言書保管事実証明書の交付請求をしても、遺言書は保管されていない旨の遺言書保管事実証明書が交付されるだけとなってしまいます。
そのため、叔母さんの相続のために、叔父さんの遺言書が保管されているかを確認したいのであれば、あくまでも叔母さんから遺言書保管事実証明書の交付を請求するべきです。
Q3 法務局に保管されていた自筆証書遺言は検認が不要と聞いたのですが、本当ですか。
A3 はい、本当です。
自筆証書遺言については、検認が必要とされております。自筆証書遺言の偽造を防止するためです(検認についての詳しい説明はコチラ)。
しかし、法務局に遺言書が保管されると、その遺言書について画像情報等を法務局が取得、保管することになります。
前回の、改正相続法24 遺言書保管法はコチラです。


