石塚弁護士ブログ

改正相続法11 特別の寄与3(民法第1050条)

今回は,改正相続法11 特別の寄与3(民法第1050条)です。

 

今回は,特別の寄与の請求の仕方,請求する期限について説明したいと思います。

Q1 私は長年被相続人である夫の母の療養看護に勤めてきました。母が亡くなり、特別の寄与料を請求したいのですが、実際にどう請求したらいいのですか。

 

A1 特別寄与の請求は、まず相続人との協議で定めることが考えられます。協議が調わないとき、又は協議することができないときには、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することができます。

 

特別の寄与を相続人との話し合いで定めることができるのであれば話し合いで定めることができます。話し合いができない場合には家庭裁判所に調停・審判を申立てることになります。

なお、協議に代わる処分手続は、遺産分割手続と独立して申立てることが可能です。ですので、特別寄与者は、遺産分割に関する事件が家庭裁判所に係属していない場合であっても、家庭裁判所に特別の寄与の額を定めることを請求することができます。

独立して申立てることができるので、別に遺産分割の調停・審判がなされている場合にも当然に特別の寄与を定める事件が併合することにはなりません。併合をするか否かは裁判所の判断によります。

 

 

Q2 共同相続人として夫A、夫の弟B(次男),C(三男)がおり、兄弟で法定相続分どおりに相続しました。特別の寄与料は誰にどのような割合で請求したらいいのですか。

A2 特別の寄与料は必ずしも共同相続人全員に請求をする必要がありませんので旦那さんのAに請求しなくても構いません。もっとも、BやCといった共同相続人は法定相続分又は指定相続分に応じて特別寄与料を負担するので、Aが負担をする分をBやCに請求することはできません。

特別の寄与制度は、被相続人の財産の維持又は増加に寄与した特別寄与者に対して、一定の範囲で相続財産を分配するのが実質的公平の理念に適うという趣旨で創設されております。

そのため、特別寄与料は本来は相続財産が負担するべき性質のものです。各相続人は特別寄与者の寄与によって相続財産を相続分に従って承継したのですから、特別寄与料の負担も相続分に応じて負担するべきことになります。

したがって、設問の例であれば、BもCも自己の相続分の3分の1を超えては特別寄与料を負担する必要はないことになります。

 

 

Q3 特別寄与料を請求しようと思っていますが、遺産分割で各相続人の相続分が定まってから請求すれば足りますよね。

A3 特別寄与料の請求手続きと遺産分割手続は別です。特別寄与料の請求は、「特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月」以内及び、「相続開始の時から一年」以内という制限が設けられていますので注意してください。

特別寄与料の請求手続と遺産分割手続とは別個のものです。しかし、特別寄与料の支払義務を負うのか否か、負うとしていくら負うのかがわからないと遺産分割を成立させることがなかなか難しいことが想定されます。そうすると、特別寄与料の請求手続が終了しないとなかなか相続問題が解決しないことになってしまいます。

一方で、特別の寄与をしている場合には、被相続人の死亡の事実を容易に知りうるといえます。

そこで、法律は、特別寄与者が家庭裁判所に協議に代える処分を請求することができる期間として、「特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月」以内及び、「相続開始の時から一年」以内という制限を設けております。

かかる期間を超えると特別寄与料を請求することができなくなりますから、遺産分割手続の有無にかかわらず特別寄与料は請求しなければならないことに注意をしてください。

 

特別の寄与についてはコチラも参考にしてください

(改正相続法9 特別の寄与1(民法第1050条))

(改正相続法10 特別の寄与2(民法第1050条))

 

 

この記事を書いた人

弁護士 石塚 政人
千葉県柏市出身
2017年 千葉県柏市に石塚総合法律事務所開所

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