離婚に関する相談者様やご依頼者様から,税金に関する質問も,まま受けることがあります。
そこで,今回のブログのテーマは離婚と税金にしたいと思います。
1回目は,財産分与で財産の給付を受ける者についての税金問題をお話します。
Q1 財産分与により財産をもらった場合,贈与税や所得税を支払わなければならないのですか?
A1 (原則)支払わなくても大丈夫です。
財産分与は,相手方から贈与を受けるのではなく,夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づいて,給付を受けるものであり,贈与又は所得ではありません。
したがって,分与を受けた者は,所得税を支払う必要はありませんし,原則として贈与税も支払う必要はありません。
もっとも,①分与された財産の額が,婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額や,そのほか全ての事情を考慮してもなお多過ぎる場合や,②離婚が贈与税を免れるために行われたと認められる場合には,贈与税がかかることになります。
Q2 財産分与により不動産を取得した場合,不動産取得税を支払わなければならないのですか?
A2 財産分与が清算的財産分与であるときは,多くの都道府県において不動産取得税を課税しない取り扱いをしていますので,不動産取得税を支払わなくてもいい場合が多いでしょう。
不動産を取得した場合,不動産を取得した者に対して,その不動産の所在する都道府県から不動産取得税が課税されます。
ただし,財産分与により不動産を取得した場合において,その財産分与が清算的財産分与であるときは,多くの都道府県において不動産取得税を課税しない取り扱いがなされています。
Q3 財産分与により不動産を取得したのですが,その年の固定資産税・都市計画税を支払わなくてはなりませんか?
A3 (財産分与が1月1日になされたのでない限り)支払わなくていいです。
固定資産税は,その不動産の所在する市町村が毎年徴収するものです。都市計画税は,その不動産が都市計画区域内の市街化区域内にある場合に,課税されます。
固定資産税も都市計画税も,毎年1月1日の時点における不動産の所有者に課税され,納税義務者は同時点における不動産の所有者です。
そのため,財産分与によって不動産を所有した者は,(財産分与が1月1日になされたのでない限り)固定資産税・都市計画税の納税義務者ではないので,これらの税金を支払わなくていいことになります。
Q4 離婚前に財産を分与しても,贈与税はかからないのですか。
A4 離婚前の財産の分与は,贈与になりますので,贈与税はかかります。
財産分与を離婚前にすることはできません。離婚を条件とした贈与であっても,それを離婚前に実行すれば,財産分与ではなく贈与ですので,贈与税はかかってきます。
そのため,離婚前に財産を分与する場合には,贈与税の基礎控除額である110万円を意識する必要が出てくることになります。