今回も,離婚についてのブログです。
離婚の関するご相談者様又はご依頼者様からよく質問されることの一つに,児童手当に関する質問がございます。
今回は,この別居中の児童手当についてのお話です。
まずは,前提知識から,
Q1 児童手当とはなんですか。
A1 児童手当とは,児童を養育する家計の負担を軽減し,あわせて児童の健やかな成長に資することを目的として支給される手当のことをいいます。
(受給資格)
児童手当は,中学校3年生(15歳になった日以後の最初の3月31日)までの児童を養育している人に支給されます。
(支給月額)
- 0歳から3歳未満 (一律) 15,000円
- 3歳から小学校修了前 (第1子・第2子) 10,000円
- 3歳から小学校修了前 (第3子以降) 15,000円
- 中学生 (一律) 10,000円
- 所得制限限度額以上世帯、児童1人につき 5,000円(※)
(※)児童手当には所得制限がありますので,一定の所得を有する人は,「特例給付」として、児童1人につき、月額5,000円が支給されます。
(支給時期)
2月・6月・10月の各10日(土曜・日曜・祝日の場合はその直前の金融機関営業日)に,それぞれの前月分までの手当が支給されます。
Q2 離婚のために別居をしました。今まで児童手当は夫の口座に振込まれることになっていました。別居して子供を養育しているのは自分なので,夫に振込まれる児童手当を自分の口座に振り込まれるようにしたいのですが,できますか?
A2 できます。
実は,よく質問されるというのは,このQ2に関する質問です。
児童手当は,児童を養育する保護者のうち,家計の主たる生計維持者に支払われることになっています。そのため,夫婦二人で子育てをしている場合や,単身赴任を理由に別居している場合には,所得の高い人に支払われます。夫の方が所得が高いことが多いため,多くの家庭では夫名義の口座に振り込まれています。
しかし,離婚準備中などの理由で別居をしている場合には,子供と一緒に住んでいる方に児童手当が支払われるとされています。
そのため,離婚のために別居をしている妻が子育てをしている場合には,児童手当は妻に支払われるべきといえるのです。
Q3 Q2の場合に,児童手当の振込先口座を夫から自分(妻)に変更するにはどうしたらいいですか。
A3 妻の住所地の役所に,①「児童手当などの受給資格に係る申立書」と,②「協議離婚申し入れに係る内容証明郵便の謄本・調停期日呼び出し状(写し)・家庭裁判所による係属証明書・調停不成立証明書」のいずれかを提出すれば足ります。
①は各役所に備え付けておりますので,そちらを利用されるといいでしょう。
②についてですが,夫婦関係等調整(離婚)調停を申し立てているときの,調停期日の呼び出し状などを提出することになります。
当職が離婚調停を手続代理している場合,ご依頼者様には,調停申立書の写しを代わりに提出してもらうことが多いです。柏市,松戸市の近隣の役所のみならず福島県郡山市でも同様の対応をしてもらっていましたので,おそらくどこの役所でも②として扱ってくれると思います。
Q4 Q3によって,児童手当を受給すると,婚姻費用算定の際の収入に影響がありますか。
A4 ありませんので,安心して児童手当を受給してください。
これは少し応用的知識です。婚姻費用(生活費)を調停ないし審判で決める際,双方の収入が考慮されます。
請求する側の収入が低く,請求される側の収入が高ければ,つまり収入の格差が大きければ多いいほど,認められる婚姻費用は高くなります。
Q4の質問は,離婚準備のために別居中の妻が児童手当を受給することで,その分収入が高くなるとして,認められる婚姻費用が低くなってしまわないか,というものです。
しかし,婚姻費用の収入に児童手当の受給分は考慮しないという扱いをしていますので,安心して,早めにA3の児童手当の受給資格の申立てをしてください。
妻側に立って婚姻費用分担請求調停の手続代理をしている際,児童手当の受給資格の変更をすると,結構な確率で相手方である夫から,児童手当をもらえるようになったのだから,その分婚姻費用を減額してもいいはずだと言われることあるのですが,そのような夫の言い分は通らないのです。