あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。
さて,弊事務所も,来月で開所1年となります。およそ1年が経ち,気になっていることがございますので,今回はそのお話しを少ししたいと思います。
弊事務所もインターネットをはじめ,タウンページ他の媒体に広告を出している関係から,ありがたいことに,多くの方から法律相談のお問合せをいただいております。ただ,お問合せの中で,時折,困ったなあと思うことがございます。
それは,お電話いただいた方の中で,電話での法律相談を希望される方が少なからずいるということです。予め,申し上げておきますが,弊事務所では,電話での法律相談を受け付けておりません。
そこで,今回は,何故弊事務所が電話での法律相談を受け付けていないのかについてご説明させていただきたいと思います。
電話での法律相談をしない理由はいくつかありますが,その最たる理由は,電話では事実関係を正確に聴き取ることができないため,誤った回答をしてしまう危険がある,ということにあります。
電話での法律相談を希望される方,いやそれ以外の方も,法律相談とは,疑問を弁護士にぶつけると,法律を何でも知っている弁護士が,法律では○○となっていますと,ただ答えるものだと思っているのではないでしょうか。あたかも疑問を投入すれば,弁護士という自動販売機がポンと法律上の答えを出すというイメージをもたれているように感じます。
しかし,法律問題はこのように抽象的・定型的に処理することは出来ません。法律問題には個性があるからです。ある事例では○○という処理でも,ある事例では××という処理をするというように,具体的な事実関係によって,事件処理の方向性は大きく異なります。
そのため,弁護士は,法律相談では,何より事実関係を正確に把握することに注力します。相談者が前提としている事実,相談者が疑問を持つに至った経緯等を一つ一つ確認するのです。相談者の方からしたら,何故そんなことまで聞くのかと思うことも,大切なことならば,余すことなく聴き取ります。また,相談者の言う事を鵜呑みにせず,資料に照らして相談者の言う事に間違いがないかを一つ一つ確認していきます。
事実関係を正確に把握できて,初めてその後の事件処理の方向性や,証拠の収集の可否,事件の筋を見極めることができるようになるのです。なお,事実関係を正確に把握すると,相談者が疑問に思っていることは大したことではなく,それ以外の点が大きな問題であることがわかるということも少なくありません。
このように,事実関係を正確に把握することは法律相談の基本であり,とても大切なことなのですが,電話での相談ではそれは極めて困難であり,かつ,大変時間がかかってしまうのです。電話では資料を確認することは出来ませんし,互いに図を示して話をすることができないので,相互理解に時間がかかります(たとえば相続関係説明図があれば一見して相続人が何人いるのかわかるところを,電話で相続関係を正確に伝えるのは難しい為,時間がかかります。)。
以上の事情から,弊事務所では,電話での法律相談を受け付けていないのですが,これを電話での法律相談を希望する方に説明するのは,なかなか困難だったりします。
当職「病気を見てもらうときも,電話で問診を受けませんよね。実際に,病院に行って聴診器を当ててもらいますよね。それと同じと思って下さい。」
相談者「いや,簡単なことだから。ちょっと答えてくれればいいから。」
当職「(簡単なことなら電話しなくていいのでは・・・)しかし,事実関係を正確に把握しないと,こちらでは安易にお答えできないのです。安易に答えたことを,弁護士が言ったから間違いないと思われてしまうと,あなた様の為にもならないと思うのです。弊事務所では,事前に予約を入れていただければ,平日の夜間も,休日も対応することが可能ですし,初回30分であれば無料でご相談できます。来所していただけませんか。」
相談者「いや,簡単なことだから,わざわざ行くことないと思うんだよ。」
手間をかけずにその場で回答が欲しいというお気持ちはわからなくはないですが,上記の理由から,弊事務所では電話での法律相談はお断りしておりますので,ご理解いただけたら幸いです。