死亡事故の損害賠償

死亡事故の損害賠償

こんなお悩みありませんか?

  • 息子を交通事故で亡くしてしまったのですが,私も慰謝料を請求することができますか?
  • 夫を亡くして生活費が無く苦しいです。保険会社から示談すれば直ぐに賠償金を払うといわれているのですが,示談をするしかないですよね?
  • 死亡慰謝料は,自賠責基準,任意保険基準,裁判基準でどれだけ違うのですか?

交通事故で家族が亡くなってしまったら弁護士にご相談下さい

  1. ご家族を交通事故で亡くされた悲しみ,苦しみ,動揺は,私などでは想像もつきません。ただ家族を返して欲しい,元の生活に戻して欲しい,それこそが真の願いなのかもしれません。
  2. 残念ながら弁護士として私にできることは,加害者の刑事裁判で被害者遺族としての意見を伝えるのを補助すること,加害者から提案される賠償金が適切かどうかを判断すること,加害者(保険会社)と賠償金を含めた示談交渉をすること,遺されたご遺族のとりあえずの生活費のために仮渡金を請求すること,及び,場合によっては適切な賠償金を求めるために加害者を訴えること等になります。
  3. お金の問題ではないことは重々承知しておりますが,一家の支柱たる家族を失った場合等,遺されたご遺族の生活のために,適切な賠償金を得ることはやはり大切なことだとも思います。
    どんなことでも構いません,死亡事故による賠償金についてお悩みの方は,弁護士に一度ご相談下さい。

 

死亡事故が起きた時の損害賠償

加害者に損害賠償を請求できる人の範囲

1 被害者本人の相続人が請求できます
死亡事案における損害賠償請求権は被害者の相続人が請求することができます。
一旦被害者本人(死亡者)に帰属した損害賠償請求権を相続人が相続するからです。
亡くなっているのに,被害者本人に損害賠償請求権が帰属できるのかについては法解釈上の問題はありますが,実務においては被害者本人に一旦帰属すると解されることに争いはありません。
2 死亡慰謝料については被害者の遺族(父母・配偶者・子)も請求できます
(1)死亡慰謝料については,被害者の遺族(父母,配偶者,子)も請求することができます(民法711条)。被害者の遺族も被害者が亡くなることで精神的損害を被るので,遺族は遺族自身の死亡慰謝料請求権を行使することができます。
(2)このように遺族自身の死亡慰謝料請求が認められるとすると,被害者の相続人でもある遺族は,自己の死亡慰謝料請求と相続した被害者の死亡慰謝料請求の双方を行使することが可能となりますが,実務においては,双方請求することで賠償額が2倍となる扱いはしておりません。
また,どちらの請求をしても有利不利ということはなく,認められる賠償額に差を設けない扱いをしております。
(3)したがって,被害者の遺族自身の死亡慰謝料請求は,被害者の相続人ではない遺族の場合に実益があるといえるかもしれません。

死亡事故で損害賠償を請求できる種類

死亡事故で損害賠償を請求できる損害には,①葬儀費用等,②死亡による逸失利益,および,③死亡慰謝料等があります。

1 葬儀費用等
(1)一般に,葬儀やその後の法要・供養等を執り行うために要する費用,仏壇,仏具購入費,墓碑建立費等については,社会通念上相当と認められる限度において,賠償の対象となります。
なお,香典については,儀礼的に死者や遺族を慰謝する趣旨で贈与するものとして,損益相殺をせず,また,香典返しは損害として認められていません。
(2)裁判基準では,葬儀費用等は原則150万円とし,現実の支出がこれを下回る場合には実際に支出した金額の範囲において賠償を認めるとしています。
2 死亡による逸失利益
(1)死亡による逸失利益とは,被害者が生存していれば将来労働によって得られた収入を得られなくなったことによる損害をいいます。
(2)死亡による逸失利益の算定方法(計算式)
死亡による逸失利益は,被害者が死亡しなければその後の就労可能な期間において得ることができたと認められる収入の金額から,支出されたであろう生活費を控除し,就労可能な期間の年数に応じた中間利息を控除することで算定されます。
一般には次のような計算式を用いて算定します。
計算式1(就労者)
基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能期間(一般的には67歳が終期です。)の年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数
計算式2(若年の未就労者)
基礎収入×(1-生活費控除率)×(就労可能期間の終期までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数-就労開始年数(一般的には18歳)までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数)
(3)基礎収入について
有職者の場合,原則として事故前の現実収入を基礎としますが,現実収入が賃金センサスの全年齢平均賃金を下回る場合であっても,平均賃金を得られる蓋然性が認められれば,全年齢平均賃金によることができます。
この一定の場合に全年齢の平均賃金によるとしている点は,後遺障害による逸失利益と異なるところですが,これは,有職者の収入について,若年者の場合将来は収入が増えて行くのが通常だという一般的認識を前提にしているからです。
(4)生活費控除率について
被害者が死亡した場合,存命であれば必要であった生活費の支出を免れることから,損益相殺の考え方に基づき,逸失利益の算定にあたり,被害者本人の死亡後の生活費を控除します。
もっとも,実際に支出を免れた生活費の金額を個々に認定することは困難であることから,実務上は,被害者の所得,生活状況,被扶養者の有無・人数,性別などを勘案し,次のような分類に従い,収入の30%ないし50%が生活費とみなされ控除されています。
一家の支柱 被扶養者が1人の場合 40%
被扶養者が2人以上の場合 30%
女性(主婦,独身,幼児等を含む) 30%
男性(独身,幼児等を含む) 50%
なお,年少女性については,基礎収入として死亡時の賃金センサスの全労働者・学歴計・全年齢平均賃金を採用する場合には,45%程度とされています。これは男児と女児の格差を実質的に解消するためといわれています。
また,年金等については,生活費に費やされる割合が高いと考えられることから,それらについて逸失利益の発生を認める場合にも,生活費控除率を通常より高くする例が多いです(概ね60%,事案によって50~80%)。
(5)具体例
年齢30歳の主婦の死亡逸失利益は
364万1200円×(1-0.3)×16.7113=4259万4429円
となります。
364万1200円は,平成26年女子学歴計全年齢平均賃金です。
3 死亡慰謝料
(1)死亡慰謝料とは,死亡したことによる精神的苦痛を被ったことによる慰謝料請求のことをいいます。
(2)自賠責保険では,死亡者本人に対して350万円,遺族慰謝料として請求権者1名の場合に550万円,2人の場合に650万円,3人以上の場合に750万円,被害者に被扶養者がいる場合にはさらに200万円を加算することになっています。
したがって,自賠責保険から給付される最大死亡慰謝料額は,本人分350万円,遺族慰謝料750万円,扶養加算200万円の合計である1300万円となります。
(3)これに対し,弁護士が主張する裁判基準では,被害者が一家の支柱であった場合は2800万円,母親や配偶者であった場合は2500万円,その他の場合は2000万円~2500万円が一応の目安となっております(遺族慰謝料を含む)。

自賠責保険でも請求できる死亡事故

死亡事案における損害は,①葬儀費用等,②死亡による逸失利益,および,③死亡慰謝料等があります。
これらの損害に対して支払われる自賠責保険は以下のとおりです。

1 葬儀費用等
(1)葬儀費用等は60万円とされています。
(2)ただし,立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は,100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費とすることが可能です。
2 死亡による逸失利益
(1)死亡による逸失利益に支払われる自賠責保険金額の算定方法は,裁判基準と同じ考えによります。
異なるのは,死亡者が年金等の受給者であるか否かで算定方法が異なることと,いわゆる裁判基準における「基礎収入」に当たる部分が,①事故前1年間の年間収入額,②自賠責法の別表Ⅳに定める死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額,又は,③同法別表Ⅲに定める全年齢平均給与額のいずれかになることにあります。
(2)計算式
計算式1(年金等の受給者以外の死亡による逸失利益)
(年間収入額(①)または年相当額(②,③)-本人の生活費)×死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数
ただし,生涯を通じて全年齢平均給与額の年相当額(③)を得られる蓋然性が認められない場合は,この限りでない。
計算式2(年金等の受給者以外の死亡による逸失利益)
{(年間収入額(①)または年相当額(②,③)-本人の生活費)×死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数}
+
{(年金等-本人の生活費)×(死亡時の年齢における平均余命年数のライプニッツ係数-死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数)}
ただし,生涯を通じて全年齢平均給与額の年相当額(③)を得られる蓋然性が認められない場合は,この限りでない。
(3)裁判基準における「基礎収入」に当たる部分が,①事故前1年間の年間収入額,②自賠責法の別表Ⅳに定める死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額,又は,③同法別表Ⅲに定める全年齢平均給与額のいずれとなるかは,死亡者の地位等によって異なります。
3 死亡慰謝
(1)自賠責保険では,死亡者本人に対して350万円,遺族慰謝料として請求権者1名の場合に550万円,2人の場合に650万円,3人以上の場合に750万円,被害者に被扶養者がいる場合にはさらに200万円を加算することになっています。
(2)したがって,自賠責保険から給付される最大死亡慰謝料額は,本人分350万円,遺族慰謝料750万円,扶養加算200万円の合計である1300万円となります。

死亡事故を弁護士に依頼するメリット

1 3つの算定基準
(1)交通事故による賠償金額の算定基準については,自賠責基準,任意保険基準,裁判基準の3つがあり,それぞれの基準によって算定される賠償金額は,自賠責基準<任意保険基準<裁判基準となります。
(2)保険会社が提示する賠償額は任意保険基準によって算定される賠償金どまりであり,弁護士が提示する賠償金額は裁判基準によって算定された賠償金額ですから,弁護士が代理人となった方が賠償金額は上がることになります。
2 葬儀費用等の金額の比較
死亡事故で支払われる葬儀費用等の金額においても,以下のように自賠責基準と裁判基準で差が生じます。
なお,任意保険基準は,各保険会社によって異なり,また,公表されていませんので,省略しますが,自賠責基準よりは少し多いと考えていただければよいと思います。
  自賠責基準 裁判基準
葬儀費用等 原則 60万円 原則 150万円
例外 60万円を超えることが明らかなときは,100万円まで可 例外 現実の支出額が150万円を下回ったときは現実の支出額
3 死亡慰謝料の金額の比較
死亡事故で支払われる死亡慰謝料においても,以下のように3つの基準で差が生じます。
なお,任意保険基準は,各保険会社によって異なり,また,公表されていませんので,数字はあくまでも推定となります。

【自賠責基準】

  妻子等の扶養者がいない場合 妻子等の扶養者がいる場合
被害者本人 350万 250万を加算
遺族が1人 550万
遺族が2人 650万
遺族が3人以上 750万
MAX  

【任意保険基準】

被害者の立場 慰謝料の相場
一家の支柱 1450万
18歳未満の者 1200万
65歳以上の高齢者 1100万
その他 1300万

【裁判基準】

被害者の立場 慰謝料の相場
一家の支柱 2800万
母親や配偶者 2500万
その他 2000~2500万
4 弁護士を代理人とすると死亡事故による賠償金額の増額交渉が可能です
(1)上記のように,葬儀費用等と死亡慰謝料だけをみても,3つの基準でこれだけ差があります。
なお,死亡事案による損害としてはこの他に死亡による逸失利益がありますが,同損害についても3つの基準で金額に差が出てきます。
(2) 死亡慰謝料や死亡による逸失利益は高額となるため,死亡事案において請求する賠償金額は傷害事案よりも高くなる傾向にあります。
そのため,皆さんの中には,これだけ金額に違いがあるのであれば,保険会社の担当者に裁判基準で請求して欲しいと頼みたいと思うのではないでしょうか。
しかし,保険会社が提案するのはあくまでも任意保険基準であり,裁判基準で算定した賠償額を提案してくれないでしょう。
(3)裁判基準での死亡事故による損害賠償請求を望むのであれば,弁護士を代理人とする必要があります。

死亡事故が起きたらすぐに弁護士にご相談下さい

  1. ご家族を交通事故で亡くされたのですから,動揺され,通常の精神状態では居られなくなるのは当然だと思います。
    事故に関しては何も考えたくないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんし,逆に,加害者の刑事裁判に被害者参加制度を使って参加をし,遺族としての気持ちを伝えるなど,やれることはやっておきたいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
  2. 弁護士は,交通事故のご遺族と全く同じ気持ちになるということはできませんが,そのお気持ちにできる限り寄り添いながら,ご遺族のお役に立つことはできると思います。
    つまり,加害者の刑事裁判で被害者遺族としての意見を伝えるのを補助すること,加害者からの示談金(賠償金)の申し入れに対してその示談金が適切かどうかを判断すること,ご遺族の代わりに加害者(保険会社)と示談交渉をすること,ご遺族のとりあえずの生活のために仮渡金を請求すること,及び,場合によっては適切な賠償金を求めるために加害者を訴えること等,弁護士にはご遺族のお役に立てることがあります。
  3. お気持ちが少しでも前向きになるために,一生懸命アドバイスさせていただきますので,交通事故によりご家族を亡くされ,弁護士に一度相談したいと思われた方は,一度当事務所にご相談下さい。

 

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弁護士が教える交通事故について知っておきたい基礎知識