交通事故で加害者に請求できる損害
こんなお悩みありませんか?
- 事故車になると,後日車を売却するとき査定が低くなりますが,その分も損害となりますか?
- 傷害を負ったことに対する慰謝料と後遺障害を負ったことに対する慰謝料,2つの慰謝料を請求できるのですか?
- 事故による怪我で家事が出来なかったのですが,これって損害になりますか?
被害者には請求できる賠償金がたくさんあります
- 交通事故によって受けた損害については,加害者に損害を賠償するよう請求できます。
- 交通事故によって受けた損害と一口にいっても,損害の費目はたくさんあります。
例えば,傷害事案においては,治療費,看護費,傷害慰謝料,休業損害,後遺障害による逸失利益,後遺障害慰謝料などが損害の費目となりますし,死亡事案においては,葬儀費,死亡逸失利益,死亡逸失利益等が損害の費目となります。そして,この損害の費目については,それぞれ算定方法が異なっています。 - あなたの事案において,いかなる費目が損害となるのか,その算定方法は何か,そして,結論として,あなたが加害者(保険会社)に,いくら賠償金を請求できるのかを,裁判基準で判断できるのは弁護士しかいません。
加害者(保険会社)に,いかなる損害についていくら賠償金を請求できるのかを知りたい方は,石塚総合法律事務所にご相談下さい。
加害者に請求できる損害賠償
交通事故による損害
交通事故による損害は以下のように分類できます。
損害 | 人身損害 | 財産的損害 | 積極損害 | 治療費,看護費,雑費,交通費,家屋改造費,葬儀費用,弁護士費用 等 |
消極損害 | 休業損害 逸失利益(後遺障害・死亡) |
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精神的損害 | 傷害慰謝料 | |||
死亡慰謝料 | ||||
後遺障害慰謝料 | ||||
物的損害 | 財産的損害 | 積極損害 | 修理費,買替差額,登録手続関係費,評価損 代車使用料,雑費 等 |
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消極損害 | 休車損 | |||
精神的損害 | 原則として認められない |
物損事故の損害賠償
- 1 物的損害とは
- 車両に受けた損傷から生じた損害を物的損害といいます。物的損害の主たる費目としては,修理費,買替差額,登録手続関係費(買替諸費用),評価損,代車使用料,休車損,雑費,営業損害等があります。
- 2 修理なのか(修理費),買い替えなのか(買替差額)
- (1)物的損害についての損害賠償請求も他の損害賠償請求と同じように,原状回復のための権利ですので,原状回復の方法として修理が可能であれば修理を行い,修理ができない場合に初めて買い替えをすることになります。
- (2)修理できない場合とは,
①物理的に修理が不能な場合,
②経済的に修理が不能な場合,及び,
③買い替えをすること
が社会通念上相当と認められる場合をいいます。 - ①物理的に修理が不能な場合とは文字通り,物理的な理由で修理ができないことをいいます。
- ②経済的に修理が不能な場合とは,修理の見積額が,車両時価額及び登録手続関係費(車検費用,自動車取得税などの買替諸費用)の合計を上回ることをいいます。
- ③買い替えをすることが社会通念上相当と認められる場合とは,フレーム等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められることをいいます。
- (3)したがって,上記①②③の場合には修理を行い,それ以外の場合には買い替えをすることになりますから,例えば,修理が可能なのに,事故車は縁起が悪いから買い替えてくれということはできないことになります。
- 3 評価損(取引上の評価損)について
- (1)評価損とは,修理によっても残存した機能障害や外観の損傷,あるいは事故歴による減価(取引上の評価損)をいいます。
このうちの事故歴による減価(取引上の評価損)とは,完全に修復がなされたとしても,事故歴がある車は嫌われるために交換価値が低下することをいいます。
物的損害の相談の際に,事故歴による減価を損害としないのはおかしいという相談を受けることが多いのですが,この事故歴による減価分を損害として認めるかについては争いがあり,裁判例も判断が分かれています。 - (2)事故歴による減価分を損害として認めた裁判例は,初度登録からの期間,走行距離,損傷の部位,車種等を考慮して,取引上の評価損が発生するか否かを検討するべきとしております。
- (3)一つの目安ですが,外国車又は国産人気車種で初度登録から5年以上,走行距離で6万キロ程度,国産車で3年以上,走行距離で4万キロ程度を越えると認められにくくなるとの指摘もあります。
交通事故の慰謝料
- 1 交通事故の慰謝料の種類
- 慰謝料とは,精神的苦痛を被った場合に認められる損害賠償の一種ですが,交通事故の慰謝料には,
①傷害慰謝料,
②死亡慰謝料,
③後遺障害慰謝料,
とがあります。 - 2 傷害慰謝料
- (1)傷害慰謝料とは,身体に損傷を受けたことで精神的苦痛を被ったことによる慰謝料請求のことをいいます。
- (2)自賠責保険では,日額4200円で被害者の傷害態様,実治療日数等を勘案して治療期間の範囲内で支払われることになります。
実務的には,治療期間の範囲内で実治療日数の2倍を限度として算定される例が多いようです(ただし,保険金支払限度額120万円の上限は超えることはありません。)。 - (3)これに対し,弁護士が主張する裁判基準では,原則として入院期間と通院期間をもとに傷害慰謝料を請求することになります。
例えば,足を骨折して通院に2ヶ月を要した場合には,52万円が傷害慰謝料の目安となります。 - 3 死亡慰謝料
- (1)死亡慰謝料とは,死亡したことによる精神的苦痛を被ったことによる慰謝料請求のことをいいます。
死亡した本人が精神的苦痛を感じるのかという法解釈上の問題はあるのですが,実務では本人に死亡慰謝料が認められることに争いはありません。
また,死亡慰謝料に関しては,被害者の父母,配偶者及び子という遺族も慰謝料請求することができます(民法711条) - (2)自賠責保険では,死亡者本人に対して350万円,遺族慰謝料として請求権者1名の場合に550万円,2人の場合に650万円,3人以上の場合に750万円,被害者に被扶養者がいる場合にはさらに200万円を加算することになっています。
したがって,自賠責保険から給付される最大死亡慰謝料額は,本人分350万円,遺族慰謝料750万円,扶養加算200万円の合計である1300万円となります。 - (3)これに対し,弁護士が主張する裁判基準では,被害者が一家の支柱であった場合は2800万円,母親や配偶者であった場合は2500万円,その他の場合は2000万円~2500万円を一応の目安となっております(遺族慰謝料を含みます)。
- 4 後遺障害慰謝料
- (1)後遺障害とは,適切な治療を受けても治癒ないし軽快せず身体の不具合が将来にわたって残存する状態のことを言いますが,この後遺障害によって精神的苦痛を被ったことによる慰謝料請求のことを後遺障害慰謝料といいます。
後遺障害慰謝料は,障害の内容と程度によって1級から14級までに分類されております。 - (2)自賠責保険では,自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合は,1級は1100万円,2級は958万円,3級は829万円,4級は712万円,5級は599万円,6級は498万円,7級は409万円,8級は324万円,9級は245万円,10級は187万円,11級は135万円,12級は93万円,13級は57万円,14級は32万円とされております。
- (3)これに対し,弁護士が主張する裁判基準では,1級は2800万円,2級は2370万円,3級は1990万円,4級は1670万円,5級は1400万円,6級は1180万円,7級は1000万円,8級は830万円,9級は690万円,10級は550万円,11級は420万円,12級は290万円,13級は180万円,14級は110万円とされております。
休業損害
- 1休業損害とは
- 休業損害とは,交通事故によって負った傷害の治療のために休業を余儀なくされ,その間収入を得ることができなかったことによる損害をいいます。
休業損害は,傷害が治癒し,又は,症状固定となるまでの間に被害者の生じた収入の減少であり,症状固定後に後遺障害が生じ,労働能力を喪失したために生じる収入の減少である,後遺障害による逸失利益とは別個に考えられています。 - 2休業損害の算定方法
- 休業損害の算定方法ですが,一般には次のような計算式を用いて算定しております。
事故前の収入(基礎収入)の日額×事故発生日から症状固定日までの休業日数-休業中に賃金等の一部が支払われた場合における支払分 - 3給与所得者の基礎収入
- 給与所得者の場合は,一般的には事故前3ヶ月間の収入の平均額を基礎収入とすることが多いです。
現実の収入減がなくても,有給休暇を使用した場合も休業損害として認められますし,休業中に昇給,昇格があった後はその収入を基礎とすることになります。 - 4事業所得者の基礎収入
- 事業所得者の基礎収入は,原則として事故前年の確定申告によって認定します。
確定申告はしていないが,相当の収入があったと認められるときは,賃金センサスの平均賃金又は平均賃金を減額した金額を基礎として休業損害を算定する例が多いです。 - 5主婦(家事従事者)の基礎収入
- (1)主婦の行う家事も金銭的評価のできる労務ですから,休養により家事ができなかった場合には休業損害が認められます。もっとも,家事をしても給与がもらえるわけではないため,家事の金銭的評価を給与で行うことはできません。そこで,主婦の基礎収入は,事故の発生した年の賃金センサスの女性の学歴計・全年齢平均賃金を採用することになります。例えば,35歳大学卒の主婦が平成26年に事故にあった場合は364万1200円が基礎収入となります。
- (2)有職の主婦(兼業主婦)の場合,裁判例では,現実収入が賃金センサスによる女性労働者の平均賃金を超えるときは現実収入を基礎収入とし,現実収入が同平均賃金以下のときは平均賃金を基礎収入とします。
後遺障害による逸失利益
- 1 後遺障害による逸失利益とは
- 後遺障害による逸失利益とは,被害者の身体に後遺障害が残り,労働能力が減少するために,将来発生するものと認められる収入の減少のことをいいます。
- 2 後遺障害による逸失利益の算定方法
- 後遺障害による逸失利益は,一般に,被害者の事故前の収入(基礎収入)に,後遺障害による被害者の労働能力の喪失の程度(労働能力喪失率)を乗じ,その状態が継続する期間(労働能力喪失期間)の年数に応じた中間利息の控除を行って算定されます。
- 計算式1(就労者)
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間の年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数 - 計算式2(若年の未就労者)
基礎収入×労働能力喪失率×(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数-就労開始年数(一般的には18歳)までの年数に対応する中間利息の控除に関するライプニッツ係数 - 3 基礎収入について
- 基礎収入についての基本的な考え方は,休業損害と同様となりますが,事故時の現実収入が低額であったとしても,労働能力喪失期間中にそれを上回る収入が得られる蓋然性が立証された場合には,その金額をもって基礎収入とすることもあります。
- 4 労働能力喪失率について
- 労働能力喪失率とは,被害者が後遺障害を残した場合に労働能力がどの程度失われたのかをパーセンテージで認定したものです。一般に,後遺障害が自賠法施行令別表第1及び第2に定めるもののいずれに相当するかを参考とし,被害者の職業,年齢,性別,後遺障害の部位・程度,事故前後の稼働状況,所得の変動等を考慮して判断されます。
- 5 ライプニッツ係数
- 基礎収入に労働能力喪失期間(原則67歳までの期間)を乗じたとしても,損害賠償金は一時金として受領するものなので,将来長期間にわたって発生する収入減少を一時金(現価)に算定しなおすためには,中間利息を控除する必要がありますが,ライプニッツ係数とは,この中間利息を控除するための方式をいいます。
- 6 具体例
- 症状固定時の年齢が50歳の年収500万円のサラリーマンが傷害を負い後遺障害により労働能力が35%低下した場合
500万円×0.35×11.2741=1972万9675円
が後遺障害による逸失利益となります。
交通事故問題を弁護士に依頼して賠償金を倍額しましょう
- 交通事故による苦痛を少しでも軽減するためには,適切な賠償金を支払ってもらうことが大切です。
そして,適切な賠償金を支払ってもらうためには,あなたの事案において,いかなる費目が損害となるのか,その算定方法は何か,そして,結論として,あなたが加害者(保険会社)に,いくら賠償金を請求できるのかを,正確に把握する必要があります。 - しかし,あなたの加入している保険会社は,あくまでも保険会社の基準でしか損害を算定してくれません。
保険会社の担当者は,裁判基準がどういうもので,裁判基準により算定すればその損害の費目はいくらになるということがわかっていても,裁判基準で算定することはしないのです。 - したがって,適切な賠償金を請求するためには,弁護士に相談をし,裁判基準による賠償金がいくらなのかを算定してもらうことが絶対に必要なのです。
加害者(保険会社)に,いかなる損害についていくら賠償金を請求できるのかを知りたい方は,石塚総合法律事務所にご相談下さい。