突然の刑事事件・少年事件で困ったときの公的制度と相談窓口

突然の逮捕や取調べ、またお子さんが事件に関わったとき、「これからどうなるのか」「どう対応すればいいのか」と不安を感じられる方がほとんどだと思います。
万が一、刑事事件に巻き込まれてしまった場合や、事件を起こしてしまった場合には、まずは冷静に状況を把握することが大切です。
当事者やご家族が知っておくべき基本的な知識について、下記ページでわかりやすく解説しています。

また、このページでは、千葉県柏市を中心とした地域で刑事事件・少年事件に直面した場合に利用できる公的な制度や相談窓口についてまとめました。
「もしも」のときに、少しでも安心していただけるような情報を掲載しております。
不安なとき、困ったときに、どうぞご活用ください。

刑事事件の一般的な流れ

刑事事件は「事件発生→警察による捜査→逮捕→勾留→起訴→裁判」という流れが一般的です。
しかし、すべての事件が裁判に至るわけではなく、証拠不十分などで不起訴処分となるケースも多くあります。
そのため、事件発生後できるだけ早い段階での弁護士相談が非常に重要です。

刑事事件の一般的な流れ

取調べでの対応方法や示談交渉など、初期段階での適切な対応が事件の結果を大きく左右します。
刑事事件の詳しい流れや基礎知識についてはこちらのページで解説しています。

刑事事件における公的支援制度

1,当番弁護士制度

当番弁護士制度は、逮捕された被疑者が無料で弁護士と面会できる制度で、日本弁護士連合会と全国の弁護士会が運営しています。
逮捕直後の被疑者本人または家族からの要請で成人事件・少年事件ともに、1事件につき1回限り無料で適用可能です。
この制度は逮捕後72時間以内の「家族面会不可期間」中でも利用可能で、被疑者が孤立しないよう設計されています。

制度の目的 逮捕直後の法的アドバイス提供
警察の取調べへの適切な対応方法の説明
被疑者の権利保護
利用条件 逮捕直後の被疑者本人または家族からの要請
1事件につき1回限りの無料利用
成人事件・少年事件ともに適用可能
手続きの流れ 1.警察署を通じて弁護士会に連絡
2.登録弁護士から担当者が選任
3.通常24時間以内に留置場で面会実施
注意点 派遣される弁護士はランダムに割り当てられる
継続的な弁護活動を希望する場合は別途契約が必要
少年事件では「当番付添人制度」として同様の仕組みが利用可能

2,刑事被疑者弁護援助事業

刑事被疑者弁護援助事業は、日本弁護士連合会(日弁連)が運営する制度で、資力の乏しい被疑者が弁護士を選任できるよう費用を支援する仕組みです。
資力審査が緩やかな点が特徴で、特に少年事件では本人申請でも利用可能です。

主な活動内容 警察署での接見(1日1回が目安)
取調べ立会い(任意同行時の対応含む)
勾留阻止を目的とした活動
被害者との示談交渉支援
利用条件 被疑者本人または家族が申し込み可能
月収25万円以下などの資力要件(少年事件は緩和)
国選弁護制度の対象外事件も含む
手続きの流れ 1.法テラス窓口で申込書提出(FAX可)
2.日弁連が登録弁護士を割当
3.弁護士が「弁護人選任届」を裁判所に提出
4.活動終了後、報告書を日弁連に提出
報酬体系 基本報酬:5万円(勾留前72時間分)
加算報酬:示談成立時3万円など
遠隔地の場合の交通費別途支給

3,国選弁護人制度

私選弁護人を依頼する費用がない等の一定の条件を満たす方は、国が弁護士費用を負担して、弁護人を依頼する被疑者国選弁護制度を利用することができます。
なお、特定の弁護士を指定することはできません。

対象 被疑者段階:勾留状が発せられた全被疑者
被告人段階:起訴された全被告人
選任手続き 家庭裁判所または裁判所が職権で選任し、法テラスが登録弁護士から自動割当
選任請求は以下の方法で可能
・勾留質問廷で裁判官に直接申し出る
・留置場の担当官を通じて申し出る
・家族が裁判所に書面で請求
報酬体系 法テラスの定めた報酬基準により、活動内容に応じて算定される
私選弁護人との差異 弁護士の選択が不可(ランダム割当)
接見回数に制約がある場合あり
示談交渉など消極的活動に偏りがち

少年事件の流れと利用できる公的支援制度

少年事件の手続きは、大人の事件とは異なる流れになります。
警察による調査の後、家庭裁判所に送られ、そこで「どのような支援が必要か」を見極めるための手続きが行われます。
「観護措置」「審判」など専門的な用語が多く使われますが、少年と保護者を支援するための公的制度が整備されています。

※観護措置:少年の身柄を確保し調査するための一時的な措置です。家庭裁判所の決定により、少年を少年鑑別所に一定期間収容するか、または自宅に滞在させながら家庭裁判所調査官が指導・監督する「在宅観護」のいずれかが行われます。

少年事件の一般的な流れ

少年事件の詳細な手続きや家庭裁判所での対応についてはこちらのページで詳しく解説しています。

少年事件で活用できる公的支援制度

1,国選付添人制度

少年審判において国費で弁護士(付添人)を選任する制度です。
私選付添人と権限に差異はなく、非行事実の適正認定、少年の権利保護、更生支援プログラム提案、被害者との示談交渉(成果に応じ報酬加算あり)などの活動を行います。

対象 検察官関与決定事件(必要的付添事件)
故意犯罪で被害者死亡事件
死刑/無期/長期2年以上の懲役・禁錮刑相当事件
被害者傍聴申出事件
選任手続き 家庭裁判所が職権で決定し、法テラスが登録弁護士から自動割当
少年や家族が弁護士を選択することはできない
主な活動内容 私選付添人と同等の権限を持ち、以下の活動を行う
・非行事実の適正認定
・少年の権利保護
・更生支援プログラム提案
・被害者との示談交渉(成果報酬あり)
私選付添人との違い 弁護士の選択不可(ランダム割当)
選任は裁判所の裁量に依存
勾留決定前72時間は適用外

2,当番付添人制度

少年審判手続において少年鑑別所に収容された少年が無料で弁護士と面会できる全国的な制度です。
家庭裁判所送致後、観護措置で少年鑑別所に収容された20歳未満の少年、女子少年も対象です。

目的 少年審判特有の手続きを説明し、権利保護と更生支援を行う
対象 家庭裁判所送致後、観護措置で少年鑑別所に収容された20歳未満の少年
利用方法 少年が鑑別所職員に「弁護士を呼んでください」と申し出ることで開始
主な活動内容 審判手続きの分かりやすい説明
調査官面接へのアドバイス
社会復帰後の進路・環境調整
被害者との示談交渉支援

3,少年保護事件付添援助制度

日本弁護士連合会(日弁連)が運営する制度で、資力のない少年が弁護士付添人を選任できるよう費用を支援する仕組みです。
国選付添人制度の対象外事件や、裁判所が国選付添人を選任しなかった事件でも利用可能です。

対象 家庭裁判所送致後の全少年事件(国選付添人制度の対象外事件も含む)
主な活動内容 付添人活動全般(面会・環境調整・示談交渉など)
財源 全国弁護士の特別会費で構成する「少年・刑事財政基金」
利用条件 少年本人または保護者が付添人を希望
経済的困難(月収25万円以下の目安)
保護者が費用負担に消極的な場合も対象
報酬体系 基本報酬:10万円(東京は2023年7月からポイント制導入)
活動加算:面会回数・環境調整・示談成立に応じて追加支給
遠隔地事件の交通費別途支給
手続きの流れ 1.弁護士が「少年保護事件付添援助(少年本人)利用申込書」を作成
2.家庭裁判所に提出した「付添人選任届」を添付
3.日弁連の援助事務センターへFAX提出
4.審判終了後、活動報告書を提出

千葉県柏市の少年事件相談窓口

刑事事件については柏警察署が最初の窓口となりますが、少年事件の場合、下記機関に直接相談も可能です。
ご家族だけで抱え込まず、早めに専門機関へご相談いただくことが大切です。
各相談窓口では、非行や犯罪行為、いじめ、不登校など、少年に関するさまざまな問題についてのご相談を承っています。

東葛地区少年センター 電話:04-7162-7867(月~金9:00-17:00、土日祝を除く)
柏市少年補導センター(少年相談) 電話:04-7164-7571(月~金9:00-17:00、土日祝を除く)
柏児童相談所 電話:04-7134-4152(月~金9:00-17:00、土日祝を除く)
千葉法務少年支援センター 電話:043-251-4970(相談専用回線)
(月~金9:00-12:15、13:00-17:00、土日祝を除く)

刑事事件・少年事件は早期の法的支援が解決の鍵

刑事事件・少年事件は、初動対応が極めて重要です。
取調べにどう対応すべきか、示談はどう進めるか、家庭裁判所での調査にはどう備えるかなど、早期に弁護士にご相談いただくことで適切な対応が可能になります。

私選弁護士による専門的サポートの強み

千葉県柏市の石塚総合法律事務所では、私選弁護人としてきめ細かいサポートを提供しています。
・ご本人・ご家族の希望や状況をじっくり伺った上での最適な弁護戦略の立案
・取調べ対応に関する具体的なアドバイスと支援
・被害者との円滑な示談交渉の実施
・家庭裁判所での各種手続きにおける丁寧なサポート
・事件後の社会復帰に向けた総合的な支援

刑事事件・少年事件でお悩みの方は、事態が深刻化する前に石塚総合法律事務所までご相談ください。
ご状況をお聞きした上で最適な解決策をご提案します。